「メガネを購入したいけど、どんなレンズを選べばいいのかわからない。」
そんな方はまず、レンズの種類や特徴、自分のライフスタイルを基準にメガネを選んでみましょう。
ついついフレームにばかり気を取られてしまいがちですが、フレームに負けず劣らず、レンズの選び方も重要です。しかし、重要度に反してレンズの種類や形状は意外と知られていません。
今回は、初めてメガネを選ぶという方に向けて、メガネレンズの選び方を3つのステップごとに解説します。
ステップ1 見え方の補正機能によってレンズの種類が違う
正常な私たちの目は、瞳孔から取り入れた光を水晶体で屈折させることによって網膜に画像を映し出します。このような作用によって正常に物が見えることを、「焦点が合う」と言います。
しかし、近視・遠視・乱視といった屈折異常や、老眼といった調節異常が起きると、焦点が合わなくなってしまうのです。
メガネのレンズは屈折異常・調節異常による見え方を補正するための機能を持っており、大きく分けて2つの種類があります。
用途が絞られる単焦点レンズ
単焦点レンズとは、近視用や遠視用、乱視用や老眼の手元用といったひとつの機能に特化したレンズです。
機能はひとつだけなので、「老眼における調節異常の際に使う手元用のレンズで、遠くにも焦点を合わせる」ということはできません。しかし、機能が絞られているので目への負担が少ないという利点があります。
教室の黒板や映画館のスクリーンのような遠くを見たい、読書やパソコンに向かう際に手元を見たい、というように目的が明確な時に適しています。
複数の機能を持つ多焦点レンズ
多焦点レンズとは、ひとつのレンズに複数の機能を持たせたマルチなレンズです。1枚のレンズに、焦点を合わせるための度数が複数あるため、累進レンズとも呼ばれています。主にレンズの上と下で見え方が異なり、メガネを替えることなく手元から遠くまで正常に見ることが可能です。
遠く見る機能をメインに、近くを見る機能をサブに据えた「遠近両用レンズ」、部屋の中を見渡す程度の距離を見る機能をメインに、近くを見る機能をサブに据えた「中近レンズ」、至近距離から1m先程度の近距離を見るための「近々レンズ」などがあります。
上下で見え方が異なるため一石二鳥のレンズではありますが、商店の合わせ方に慣れるまで時間がかかることもあります。
ステップ2 レンズの形状にも種類がある
続いて、レンズの形状の違いを見ていきましょう。
レンズの形状は3種類。それぞれにメリット・デメリットを持っています。
球面レンズ
横から見た時に丸くカーブしているレンズを、球面レンズと呼びます。近視用は中心が薄く周囲が厚い凹レンズ、逆に遠視用は中心が厚く周囲が薄い凸レンズです。安価という点が一番のメリットと言えるでしょう。
レンズから入ってくる光を屈折させることで見え方を補助しているため、視力の悪さに伴ってレンズは厚くなり、周囲と中心の厚さの差も大きくなってしまいます。そのため、中央と周囲でゆがみが起きやすいというデメリットを抱えています。
また、近視用の凹レンズをかけた場合、目が小さく見えたり顔の輪郭がずれたりといった影響も考えられます。小さなフレームや子供用のフレームであれば影響は少ないかもしれませんが、度数が高くなればゆがみが起きやすいというデメリットは変わりません。
非球面レンズ
非球面レンズは、球面レンズに比べてカーブがゆるやかです。球面レンズよりも中心と周辺の厚みの差を小さくするために開発された非球面設計が採用されているので、ゆがみが起きにくいというメリットがあります。
球面レンズよりも薄く、近視用の凹レンズでも目や輪郭の見え方に影響が少なくて済むでしょう。また、レンズ自体が軽く仕上がるのも魅力のひとつと言えます。
球面レンズと比べてやや価格帯が高めという点がデメリットです。
両面非球面レンズ
非球面レンズは片面のみが非球面設計となっていますが、両面非球面レンズは両面に非球面設計が採用されているレンズです。
当然、片面のみの非球面レンズよりも更に厚みの差が小さく、ゆがみはほとんどありません。メガネをかけた際の目や輪郭のずれやレンズの重みについても同様で、非球面レンズよりも更に見え方に影響が少なく軽量になっています。
3つのレンズの中でもっとも値段が高く、扱っていないメガネ屋さんもあるため、両面非球面レンズにしたい場合は注意が必要です。
ステップ3 ライフスタイルやシーンでレンズを選ぼう
メガネレンズの選び方の最後のステップは、ライフスタイルやメガネをかけるシーンです。
誤解している方が多いのですが、「良く見える=良いメガネ」ではありません。
例えば、近眼の方の見え方の仕組みを見てみましょう。
眼球においてレンズの役割を持つ水晶体は、毛様体筋という筋肉によって厚みが変わります。遠くを見る際は毛様体筋がゆるんで水晶体が薄く、近くを見る際は毛様体筋が緊張して水晶体が厚くなります。厚みを変えた水晶体が光の屈折を調節することで、見たいものにピントが合う仕組みです。
近眼の方は、屈折の仕組みに異常が発生して遠くのものが見えにくくなっている状態を、メガネで補助しているのです。
ここで、ライフスタイルやメガネをかけるシーンが重要になってきます。メガネを作る時に、遠くまで良く見えるようなレンズを選んだとします。しかし、一日の大半を数十センチ先のパソコンや書類を見つめて過ごすという方であれば、遠くまではっきりと見えるような強いメガネはオーバースペックです。
見えすぎるレンズは、屈折異常を起こしている目にかえって負担をかけることになり、眼精疲労や頭痛、更なる視力低下に繋がります。至近距離を見ることが多いライフスタイルには、遠くまで良く見えるメガネはミスマッチなのです。
メガネを作る際は、もちろんプロが度数を測定します。その際に、「仕事中に使いたい」、「運転の際にかけたい」といったメガネを使うシチュエーションやライフスタイルを伝えるようにしてください。そうすることで、専門家がベストな見え方の「体に良いレンズ」を提案してくれるでしょう。
正しいメガネレンズ選びで「体に良いメガネ」を作ろう
メガネレンズの選び方において、レンズの種類や形状、ライフスタイルはどれも疎かにできない大切なポイントです。レンズの選択によって価格も見え方も変わってくる上、合っていないレンズを使い続ければ視力低下や体調不良といった悪影響が及ぶ可能性もあります。
千里堂では、専門家とのカウンセリングの時間をたっぷりとることで、見え方や体への影響を考慮した「体に良いメガネ」を作ることを心がけています。
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