近年、患者数が著しく増加している糖尿病。
国内の患者数は1,000万人を超え、予備軍を含めると2,000万人近くまで増えてきているとも言われています。
糖尿病になると、目の網膜の毛細血管が詰まったり、高血糖による末梢神経障害や代謝異常などによって、さまざまな目の合併症が起こります。
糖尿病と診断された時から適切な治療を受けていれば確実に防げる目の合併症も、実際は糖尿病を放置している人が多く、糖尿病の合併症で視力を失い、結果的に成人の失明原因として非常に大きな比率を占めているのです。
代表的な合併症に「糖尿病網膜症」があります。
本記事では、糖尿病網膜症について以下の内容を詳しく解説していきます。
- 糖尿病網膜症とは
- 原因
- 症状
- 日常生活で気をつける事
糖尿病網膜症ってなに?
「糖尿病網膜症」とは、糖尿病の合併症で起きる目の病気で、糖尿病により、目の中の「網膜」という組織が障害を受け、視力が低下してしまう病気です。
糖尿病患者数の多さもあり、糖尿病網膜症は緑内障とともに、成人してからの失明原因として大きな比率を占めています。
糖尿病網膜症は新生血管が原因
目の奥には、「網膜」と言われるカメラのフィルムと同じような役割を持つ部分があり、ここに多くの毛細血管が広がっています。糖尿病になると、血液の糖分が多く粘度が高くなり、血管への負担も大きく、詰まったり、出血をしたりするようになります。
目の血管が障害を受けて機能しなくなってくると、栄養分などを届けられなくなるため新しい血管(新生血管)が作られます。
この血管はもともとの血管よりももろく、たびたび出血などを引き起こしてしまうため、視界がかすんだり、視力の低下の原因となってしまうのです。
糖尿病網膜症は、糖尿病患者の約40%で見られ、病気が進行すると緑内障、網膜剥離などといった病気を併発し、失明に至ることもあります。
糖尿病網膜症の症状
初期症状
初期症状では、まだ自覚症状がみられません。しかし、目の中の血管の状態をみると、小さな出血など、少しずつ異常があらわれています。
進行期に出る症状
出血した血液の脂肪やタンパク質が凝固する事により、網膜内に沈着する白斑が増えてきます。
この時から、視界がかすむなどの症状が感じられます。目の中では血管がつまるなどの障害が起きています。
白斑・・・角膜に何かしらのダメージを負うことで、白く混濁する症状のこと。
(画像引用:京橋クリニック)
末期で出る症状
末期になると、視力低下や飛蚊症が起こり、さらには失明に至ることもあります。目の中で大きな出血が起こる、あるいは網膜剥離や、緑内障など、他の病気を併発している場合があります。
飛蚊症・・・飛蚊症とは、モノを見ているときに黒い虫のようなものが動いて見える状態のことです。黒い虫のようなものの形や大きさはさまざまで、視線を動かすと追いかけてくるような動きをする場合もあります。
定期的に診察を受けましょう
糖尿病と同じく、糖尿病網膜症も初期症状の自覚がなく、気づかぬうちに進行していく病気です。
「見えるから」「視力も落ちていない」といった理由で放っておくのは非常に危険です。
なぜなら初期の単純糖尿病網膜症の段階を過ぎると、治療しても網膜の状態は元に戻らないことがほとんどだからです。
早いうちに適切な治療をすれば進行を遅らせる事ができるので、糖尿病と診断されたのであれば、定期的に検診を受けましょう。
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