
「右も左も1.0見えているから、私の目は健康だ」
そう確信している方にこそ、知っていただきたいことがあります。
一般的な視力検査で測定される「片眼視力」は、あくまで目が持つポテンシャルの一部に過ぎません。
医療機器であるメガネを仕立てる際、片目の数値だけを基準にすることは、車のエンジンの出力だけを見て、タイヤのバランスやハンドルの連動性を無視するようなものです。
千里堂では、一級眼鏡作製技能士が「片眼視力だけでは、本当に快適なメガネはつくれない」と考え、たっぷり時間をかけて「両眼視(りょうがんし)」の分析を行います。
今回は、知られざる「片眼視力」の役割と、その先にある「両眼視」がなぜ生活の質を左右するのか、専門的な視点から解説します。
1. 片眼視力とは何か:それは「個々の性能」の測定
片眼視力とは、文字通り左右それぞれの目が単独で発揮できる視力のことです。
一般的なメガネ店や学校の検診で「右:1.0、左:1.0」と測定されるのがこれに当たります。
- 一般的な認識: 片目ずつしっかり見えていれば、両目で見たときも問題ない。
- 千里堂の視点: メガネをかける目的が「快適に過ごすこと」であるならば、「二つの映像を脳がいかに処理しているか」という統合プロセスが重要になります。
片眼視力を測る意味は、病気の早期発見や、各眼の矯正の土台を知るために不可欠です。
しかし、それ「だけ」でメガネの度数を決定してしまうと、現代人の疲れ目の根本原因を見落とすことになります。
2. なぜ「片眼視力」だけでは不十分なのか
私たちは普段、両目を開けて生活しています。しかし、片目ずつの検査では、両目を開けた瞬間に生じる「目のチームワークの乱れ」を検知することができません。
左右の視線がわずかにズレている(斜位)場合、片目ずつの検査では視標がはっきり見えていても、両目で見ると画像が二重になったり、わずかににじんだりします。
脳は、このズレを修正するために目の周りの筋肉(外眼筋)を常に緊張させ、無理やり一つに重ね合わせようとします。
網膜にピントが合っても、「左右の視線を合わせるための脳の負荷」が解消されていなければ、そのメガネは失敗です。この無意識の負荷が、頭痛や肩こり、そして集中力の低下という形で現れるからです。
3. 快適なメガネの鍵を握る「両眼視力」との関係性
千里堂が追求するのは、単なる「視力矯正」ではなく、「両眼視機能の安定」です。両眼視力とは、左右の目が協力して、一つの立体的な世界をスムーズに捉える能力を指します。
例えば、片眼視力1.2を目指して作ったメガネをかけたとき、左右の連携がうまくいかず、脳が疲弊してしまうケースがあります。
千里堂では、あえて片眼視力を0.8〜0.9程度に抑える提案をすることがあります。それは、「両目で見たときに最も脳がリラックスし、長時間近くを見続けても疲れにくいバランス」を優先するためです。
- 輻輳(ふくそう)の安定: 近くを見るときに目を内側に寄せる力が、ピント調節と正しく連動しているか。
- 融像(ゆうぞう)のサポート: 左右の画像を脳が一つにまとめる負担を、レンズの度数やプリズム処方でいかに減らせるか。
この「両眼視」へのアプローチこそが、デスクワークにおける眼精疲労の根本解決や、お子様の学習時における集中力維持に直結します。
4. 一級眼鏡作製技能士が「対話」を重視する理由
片眼視力の数値は機械で瞬時に測れますが、両眼視のバランスはその人のライフスタイルや筋肉のクセによって千差万別です。
90分以上の時間をかけるのは、単なる視力測定ではなく、「あなたの脳が、どれだけの負荷を抱えて見ているか」を読み解くためです。
- パソコンとの距離は何センチか?
- どの時間帯に、どのような疲れを感じるか?
- 利き目と反対の目のチームワークはどうなっているか?
これらの情報を統合し、左右の目の「仲」を取り持つような度数設計を行うことで、初めて「メガネをかけていることを忘れるような視界」が完成します。
まとめ
片眼視力は、快適な視界のための「出発点」に過ぎません。
本当のゴールは、左右の目が余計な力を入れずに協力し合い、脳がリラックスして情報を処理できる状態を作ることです。
「視力検査で1.0と言われたのに、目が疲れる」
その違和感は、あなたの「両眼視」が発信している、大切なサインかもしれません。
千里堂網走本店は、一級眼鏡作製技能士の技術と、徹底したライフスタイル分析により、数値上の1.0を超えた「身体の一部として機能するメガネ」をご提案いたします。
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