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発達障害の接し方とは?子どもに対して親ができることを紹介します

発達障害の接し方とは?子どもに対して親ができることを紹介します
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発達障害は、何か一つの決まった特性や決まった対応の仕方がある訳ではなく、まずは一人ひとり違う個性を理解した上で周囲が適切に接していくことが大切です。

しかし、予想しない子どもの言動や思い通りにいかない状況に対し、「どう接したら良いか分からない」と悩む親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

子育てに正解がある訳ではありません。しかし、少しでもあなたがお子さまを理解し、自信をもって我が子の成長を見守れるよう、障害の特性別での特徴や接し方についてご紹介したいと思います。

発達障害の子どもと接するには、まず一人ひとりの障害特性を知ることが大事です。医学的な診断に囚われず、「自分の子どもは何が得意で何が不得意なのか」お子さまの様子を観察しながら、それぞれの個性に合わせた接し方を考えていきましょう。

目次

発達障害の子どもとの接し方の基本

まずはご家庭でできる発達障害の子どもとの基本的な接し方についてまとめてご紹介します。

話しかけるときは簡潔に伝える

長い文章は理解しにくいことがあるので、やることを一気に伝えずに短く区切って伝えます。

また、最初の言葉は聞き逃しやすいということがあるので、まずは「○○くん、これから話すよ」と注意喚起をしてから話を始めることも有効です。

叱るより褒めることを意識する

子どもたちはわざと怒らせるような言動をしている訳ではありません。やってしまったことに対して𠮟責をするのではなく、どうしたら良かったかを冷静に伝えましょう。

また、望ましい行動ができた時は少し大袈裟なくらい褒めてあげましょう。

否定ではなく肯定で伝える

例えば「近くでテレビを見たらダメ」と言っても、子どもはそれを聞いてもどうしたら良いか分かりません。否定ではなく肯定の表現で「離れてテレビを見ようね」と伝えることで徐々に望ましい行動ができるようになってきます。

予定表をつくる

「いつ」「何をするのか」予測ができないと子どもたちは不安になります。文字や絵にして予定を書くことで子どもたちは「次何をすればよいか」が理解しやすくなり安心して過ごすことができます。

安心できる環境をつくる

一つの部屋や空間にいろいろな使用用途があると子どもたちは混乱していしてしまいます。なるべく部屋ごとで目的を分けるようにすると良いです。

視覚過敏や聴覚過敏がある場合はそれに配慮した部屋づくりというのも大切です。

お手伝いや習い事をさせる

お手伝いはお子さまの年齢やできることに合わせて、簡単なものでかまいません。お手伝いができたら褒めてあげることで自信にも繋がります。

また、得意なことや興味のあることを習い事を通して積極的にさせることで、「楽しい」という感情が子どもの世界を広げたり自立を促したりすることができます。

着やすい衣類を着させる

身体の感覚が弱い子の場合は、小さいボタンがついたものが苦手な場合や後ろ前が分からない場合があります。

子どもの特性に応じて、ボタンが大きいものや絵柄などで後ろ前が分かりやすい服を選んであげましょう。

偏食は気にしすぎない

子どもによっては同じものしか食べないなどの偏食をする子がいます。しかし、成長に応じて自然と食べられるものが増えていきますので、あまり心配しすぎないで大丈夫です。

パニックの原因を探る

子どものパニックには何か理由があります。パニックの原因が分かれば、次はあらかじめその要素を排除することができます。

また、自傷行為が発生した時は本人や周りにケガがないように配慮をしつつ、収まるまで無理に止めずに見守っていましょう。

さて以下では分かりやすく、さらに3つの診断別のケースに分けて特徴や接し方について解説していきます。

①限局性学習症・学習障害(LD)の接し方

①限局性学習症・学習障害(LD)の接し方

限局性学習症・学習障害(LD)がある場合、なんらかの脳の障害により目や耳などから入ってきた情報が脳にスムーズに伝わらないため、文字を見分けられなかったり話していることを聞き取れなかったりすることがあります。

知的能力に遅れはないことから周囲から「障害」として理解されにくいため、本人の努力不足と思い込んでしまうケースがあります。

周囲が責めたり叱ったりすると劣等感や挫折感からマイナスな感情や行動を誘因するなど、お子さまの二次障害につながることがあります。

限局性学習症・学習障害(LD)のケースで大切なことは、「学習とは努力すれば皆一様に学びを獲得できる」という誤解を捨てることです。

限局性学習症・学習障害(LD)の特徴

限局性学習症・学習障害(LD)の特性をもつ子どもの特徴をご紹介します。

読み書きが苦手

読み書きが苦手
【読むのが苦手】

流暢に話すことはできても、書いてある文字のまとまりがつくれずに文字が読めないことがあります。例えば、「ねこがなく」という文章があれば私たちは「ねこ が なく」(=猫が鳴く)と理解できますが、文字のまとまりがつくれないと書かれた文字を読むことができません。

【書くのが苦手】

読むことはできても、文章を書こうとすると脳がうまく文字情報を想起できなかったり、脳が手にうまく指令を出せなかったりすることで字をうまくかけないことがあります。

【書き写すのが苦手】

文字を覚える力に困難がある場合には、黒板に書いてある文字を覚えてノートに書き写すということが苦手な子どもたちもいます。

聞き取りや話すことが苦手

聞き取りや話すことが苦手
【聞くのが苦手】

話を聞く注意力がなかったり、耳からの情報伝達に何らかの障害があったりする場合、人の話を聞いているように見えても聞き間違いや聞き逃しをしている場合があります。

また、聴覚過敏がある場合にはちょっとした音でも「集中すべき声や音」と全て同じボリュームで耳に入ってしまうため、聞きたいことが聞き取れずに集中できないことがあります。

お子さまによっては音楽が流れているとそれに聞き入ってしまい、勉強や食事が手につかなくなるということもあります。

【話すのが苦手】

相手の話は理解できても自分が話そうとするとうまく言葉が出ずに、会話ができなくなってしまうことがあります。

自分の考えや整理することが苦手だと、自分の悩みを周囲に伝えられずにひとり悩み続けてしまうこともあります。

計算や推論が苦手

数字や記号の概念がわからなかったり、計算や推論が苦手なために算数が苦手なことがあります。

限局性学習症・学習障害(LD)の子どもとの接し方3つ

限局性学習症・学習障害(LD)の子どもとの接し方3つ

限局性学習症・学習障害(LD)の特徴を見ても、さまざまな症状があり、その出方や程度というのはさまざまです。

それを踏まえた上で、まずはお子さまの苦手な部分に早く気づくことが重要です。

お子さまが苦手なことは決して「努力不足」が原因な訳ではありません。子どもを責めずに一緒に考えるという周囲の大人の意識が、正しい接し方につながります。

➀指示を出しすぎない

まず大事なのが「指示を出しすぎない」ということです。まずは子どものペースでやらせながら、もし困っていたら大人が対応できるようにそばにいるくらいが丁度良いです。

②特性に合わせて学習方法を変える

一人ひとりのお子さまの特性に合わせて、学習を進めていきましょう。聞き取りが苦手な場合は静かな場所で話したり、説明する際は文字や絵を添えながら説明したりすることで、集中力や理解力を高めることができます。

話すことが苦手な場合には、決して本人の話し方を否定せず、正しい話し方を伝えていくことで、文章のルールを覚えさせていきましょう。

③教材を活用する

均等な間隔で文字を書くことが苦手であれば1マスが大きいノートを使ったり、ひっ算が苦手であればケタが揃えられるように補助線が引かれたノートを使ったりと、教材をうまく活用すると良いです。

②注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の接し方

②注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の接し方

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)がある場合、脳の機能障害によって絶えず落ち着きない行動をしたり、突然衝動的な行動をしたりすることがあります。

ADHDは3つの主症状に分けられます。

主に「多動性」「不注意」「衝撃性」という特性に分けられ、人によってそれぞれの症状の出方や程度は違います。

ADHDの特性を持つ子どもは明るくて活発的ですが、症状が強く現れてしまうと周囲との関わり方が難しくなることがあります。

決してわざとしている訳ではないので、大人たちはその気持ちに寄り添いながら、理解ある対応とサポートが必要です。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴

じっとしているのが苦手

「多動性」といって、状況に関わらず常に動き回ったり極端に活動的だったりすることがあります。

例えば授業中に立ち歩いてしまったり、しゃべり始めると一方的に話してしまったりする行動が見られます。

多動性の症状は動いていないと気分的に落ち着かないだけでなく、ただ無意識の内に身体が動いてしまうということもあり、自分で抑えることはできません。

忘れやすく、集中力がない

「不注意」という性質が、集中力が続かなかったり忘れ物をしてしまったりすることに繋がります。

こうした不注意は多くの子どもに共通することですが、6か月以上そういった性質が気になる場合にADHDの可能性があります。

こうした不注意はお子さまの努力不足ではなく、むしろ「どうして集中できないのだろう」「なぜ忘れ物をしてしまうのだろう」とお子さま自身も悩んでいる場合がほとんどです。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもとの接し方8つ

ADHAの特性による言動は、決して本心の努力不足や親のしつけ不足によるものではありません。

強い個性により周囲との関わり方に失敗をすることもあるかもしれませんが、子どもの言動を責めず、なるべく大人たちがサポートをしながら成功体験を多く作っていってあげるということが大切です。

➀忘れ物がないようにサポートする

➀忘れ物がないようにサポートする

うっかり忘れ物がないように「注意する」ということが苦手です。一緒に確認をしながら忘れ物をしないようにしましょう。

②刺激が少ない環境を整える

外からの刺激で注意が散漫しないよう、なるべく静かなスペースを確保してあげましょう。

③役割をもたせる

配布物を配ったり、グループ行動の際は人数を数えたりするなどの役割をもたせると注意散漫にならずに行動ができます。

④動ける時間を設ける

じっと椅子に座っていることが苦手なので、時々休憩を挟みながら動ける時間をつくってあげましょう。

⑤気づかせる言葉がけをする

自制力が弱いので、子どもが咄嗟に感情で動いてしまう前に「列に並ぼうね」や「歩いて行動しようね」などの言葉がけをして行動を促しましょう。

⑥ささいなことでは注意しない

本人や他人を傷つけるケガや事故でなければ、ささいなことは敢えて注意しないという余裕をもつことも大切です。

⑦注意する際は周り配慮する

注意する必要がある際は本人の自尊心を傷つけることがないよう、1対1で行いましょう。

⑧成功体験を増やす

好ましい行動ができた時はその場ですぐに褒めましょう。「認められた」という成功体験が自信に繋がります。

③自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の接し方

③自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の接し方

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は医学的検査では異常が見つかりにくく、主に脳の機能のアンバランスさが原因とされています。

人とのコミュニケーションが苦手だったり、こだわりが強かったりするなどの特性が見られます。

一方で、その集中力やこだわりからすばらしい才能を発揮することもあります。例えば、膨大な情報を短時間で記憶したり、一度聴いたことがある音楽をすぐにピアノで演奏できたりするなどといったことがあります。

さまざまな言動の特徴がありますが、その出方や程度は人それぞれ違うので社会性や性格においても十人十色です。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴

周りの状況を察知するのが苦手

いちいち言葉では教えないルールや常識のようなものを感じ取ることが苦手です。そのため、例えば自分が叱られている最中やお葬式の場などで急に歌いだしたり笑ったりすることがあります。

コミュニケーションをとるのが苦手

コミュニケーションをとるのが苦手

人への安心感を抱きにくいため、言葉や表情を通したコミュニケーションのキャッチボールが苦手です。また、他人への関心が薄く、自分の興味や関心を相手に積極的に共有しようとしません。

特定のことにこだわる

自閉症スペクトラムの特性をもつ子どもは想像力を働かせるのが苦手なため、少しのことでも不安や緊張を感じやすいということがあります。

変化が苦手なため、ルーティーンを毎日繰り返すことで自分なりの「毎日同じ」を獲得することができます。それが本人のこだわりとなって言動に表れます。

五感にかたよりがある

五感とは「視覚」「触覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」のことです。自閉スペクトラム症の特性をもつ子どもはこの感覚に偏りがあるため、例えば視覚が過敏で強い光にストレスを感じたり色のコントラストがきつく感じたりすることがあります。

音声より、視覚的な情報を理解する方が得意

音声で伝えるより、字や絵の方が理解しやすく記憶に残りやすいという傾向があります。

曖昧な表現が分からない

「そろそろ寝る時間」「それ取って」など、遠回しな表現や抽象的な言葉を使うと理解しにくいことがあります。

感情を読み取ったり表現するのが苦手

相手の表情や振る舞いから感情を読み取ることが苦手です。喜怒哀楽に気づけないため、その場にふさわしくない言動をしてしまうことがあります。

また、自分自身も感情を言語化するのが苦手なため、黙り込んでしまったり周囲を避けたりとコミュニケーションがとりづらくなってしまうことがあります。

一度に複数のことをするのが苦手

例えば、人の話を聞きながらノートに文字を書くというのが苦手です。ただ、一つのことに集中するのは得意なので、例えばお子さまによっては文字を読むことだけに長時間集中することができます。

空間や時間の把握が苦手

例えば、学校の教室は勉強するための場所だけでなく、ご飯を食べたり遊んだりする空間としても使われます。しかし、自閉スペクトラム症の特性をもつ子どもにとっては今は何の目的で使われているのか分からず、混乱してしまうことがあります。

また、時間の経過を感覚的に捉えることが苦手なため、時間を示されても「いつまで続くかわからない」不安にかられることがあります。

運動運動が苦手

脳からの指令がスムーズに体に伝達しないことで、動きがぎこちないことがあります。

また、体の感覚が希薄な場合もあり、力の入れ方や力加減が分からずに衣服の着脱がうまくいかないこともあります。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもとの接し方5つ

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもとの接し方5つ

➀言葉かけは分かりやすくシンプルに

ポイントは「ゆっくりと」「短い言葉で」「具体的に」伝えることです。

②落ち着ける環境をつくる

五感の内で何か一つに過敏な場合は、それが刺激にならないよう配慮した空間をつくりましょう。

③見通しを分かりやすく視覚化する

ちょっとした変化にも不安を感じやすいので、何か予定がある際は言葉で伝えるだけでなく文字や絵にして伝えましょう。

また、今している作業がいつ終わるのか、時間で教えるのではなく「3ページ読んだら終わり」などの分かりやすいゴールを設定してあげると良いです。

④パニックが起きたら冷静に対応する

子どもがパニックになったら無理に抑えようとせず、なるべく静かな場所へ連れて行って落ち着くまで待ちます。

パニックが収まったら「我慢できたね」と褒めてあげましょう。

⑤興味の幅を広げる工夫をする

子どもの関心のあることを少しでも広げるため、いつもの遊びをした後に違う遊びにも誘ってみましょう。無理強いはせず、今興味あることを生かしながら違うことも少しずつチャレンジさせるなど、子どもの世界を徐々に広げてあげる工夫が大切です。

発達障害の子どもと接するのがつらくなったときの相談先

発達障害の子どもと接するのがつらくなったときの相談先

発達障害があるないに関わらず、子どもをもつ親であれば子育てに関する色々な不安や悩みはあるものです。

「子育てがつらい」と思った時は一人で我慢せず、似たような境遇で子育てをする人たちとつながれる場所を見つけて、気持ちや経験を共有するのも良いでしょう。

以下4つの障害者支援団体をご紹介します。

社団法人 日本自閉症協会

自閉症をもつ人たちを支援・育成をしています

NPO法人 全国LD親の会

LD(学習障害)など発達障害のある子どもをもつ保護者のための全国組織です。

NPO法人 えじそんくらぶ

ADHDをもつ人たちを支援しています。

一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDネット)

相談機関ではありませんが、発達障害関係の全国及び地方の障害者団体や親の会、学会・研究会、職能団体などを含めた幅広いネットワークを持っています。

まとめ

まとめ

以上に、今回は主に発達障害の特性をもつ子どもに対しての接し方についてご紹介してまいりました。

冒頭にも書きましたが、まずはお子さまの個性について周りが知って理解するという意識が大切です。

正解がない子育てにおいては、日々戸惑いや疑問を感じることも多いと思いますが、この記事が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。

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