近年、世界中で増加している発達障害。
社会生活を送る上で様々な困難が生じる障害ですが、症状やその程度に個人差が大きく、学校や職場で理解が得られないことも多いのが現状です。
そんな発達障害を軽減するための手段として、ビジョントレーニングに注目が集まっています。
「見る力」を鍛えるビジョントレーニングが発達障害に与える効果について、解説します。
発達障害と「ビジョントレーニング」ってどんな関係があるの?
発達障害とは、生まれつき脳機能の一部に発達の偏りがあるという障害のことを指します。
自閉症やアスペルガー症候群などを含めた自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如や多動性障害とも呼ばれるADHD、学習障害(LD)の3種類に分けられます。
発達障害の診断基準の変更や、2005年に発達障害支援法が施行されたことによる認識の広がりにより、発達障害の診断を受ける人は増加しており、30人に対して1〜2人は発達障害と言われています。
障害には程度がありますが、目を上手く動かせなかったり、目から得た情報を脳で上手く処理できなかったりといった原因に由来する困難は少なくありません。
ビジョントレーニングとは、アメリカ発祥の「見る力」を鍛える訓練です。
止まっているものを見る視力ではなく、ものを見る際に使用する筋肉や目の使い方、目で取り入れた情報を脳で処理する能力を鍛えます。
スポーツ選手のパフォーマンス向上として取り組まれることもありますが、子供の学力や運動能力向上といったメリットももたらしてくれるトレーニング法です。
発達障害とビジョントレーニング、どちらも目と脳が関係していることが分かります。
注目!ビジョントレーニングによって軽減される発達障害の症状
それでは、ビジョントレーニングで「見る力」を鍛えることによって、どのような点が改善されるのか、具体的に見ていきましょう。
・集中できない
集中力が上がり、以前よりも長い時間、勉強や読書に集中して取り組めます。
・忘れ物やミスが多く、持ち物が散らかりがち
約束や持ち物を忘れることが減り、片付けや整理もできるようになります。それに伴い、トラブルの軽減も期待できます。
・読み書きが苦手
読み間違いや行飛ばしがなくなり、読み書きに対する疲労が軽減されます。
文章や数字をを正しく記憶できるので、転記ミスも少なくなります。
罫線に合わせて文字が書けなかった子供が、はみ出さずきれいに書けるようになったという例もあります。
いずれも、目の動かし方や脳での処理といった「見え方」をトレーニングすれば、軽減できる可能性がある症状です。
近年では、発達障害児を対象とした放課後デイサービスでもビジョントレーニングを取り入れています。
興味がある場合は、書籍や動画を参考にしたり、ビジョントレーニングを行うことができる施設や視覚機能の専門家であるオプトメトリストを訪ねましょう。
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