スポーツでは止まったものを鮮明に見るための通常の視力に加え、動いているものを追跡し見極める「動体視力」を鍛えることでパフォーマンス向上に繋がります。
今回は、動体視力を鍛えることでパフォーマンス向上に繋がる理由から、鍛えていく方法をご紹介していきたいと思います。
テクニックや体力や瞬発力だけでなく、動体視力などの「見る力」を鍛えていくことで、ライバルと差をつけていきましょう!
動体視力が求められるスポーツ
次に、スポーツごとにどのような場面で動体視力が求められているのかをご紹介していきたいと思います。
野球
野球では、ピッチャーが投げたボールが、ストライクかどうかを瞬時に判断しなければなりません。イチロー選手は静止視力が0.4しかありませんが、飛んでくるボールの縫い目が見えるほど動体視力が良いそうです。
サッカー
サッカーでは、ゴールキーパーを含め、正確なトラップやキックのために動くボールを正確に捉えるための動体視力が欠かせません。
動体視力に優れている選手は、「ボールが止まって見える」「飛んでくるサッカーボールの空気穴が見える」とも言われています。
バスケ
バスケでは、ボールの回転が分からなければ、パスの軌道を予測したり、シュートが外れてしまった際にボールがどこに飛んでいくのか予測できません。
ボールの軌道などを予測するためには経験を積み重ねることも必要ですが、まずはそれが「見えていること」が前提として必要です。
卓球
相手がスマッシュしてから自分の元へ球が届くまでのスピードはおよそ0.18秒。プロ卓球選手の球のスピードは時速100キロを超えることもあります。
速いスピードの球を正確な位置に打ち返すためには、ラケットの振り方や角度、フォーム、球の落とし所を見極めるなど、技術を身につける基礎トレーニングがもちろん大切ですが、同様に、動いている球を捉える動体視力も必要です。
動体視力を鍛えるとパフォーマンスが上がる理由
人間は情報の約80%を目から取り入れ、その情報をもとに状況を判断・行動しています。つまり、全ては“見ること”から始まると言っても過言ではありません。
例えば野球で、どれだけバットのヘッドスピードが早くなったとしても、動体視力がなければ“知覚とのズレ”が生じてしまうことで振り遅れ、ストライクとなってしまいます。
この様に、スピード感のあるスポーツでは、普段の生活よりさらに高いレベルで“見ること”が要求され、パフォーマンスの向上させていくには、視覚からの情報をより多く、より正確に、より早く受け取ることが重要です。
動体視力を鍛える方法
各スポーツにおける動体視力の重要性を掴んで頂いたところで、ここでは、自宅でもできるトレーニング方法についてご紹介していきたいと思います。大掛かりなものを用意せずとも取り組んで頂ける方法を2つご紹介します。
①親指フォーカス
「親指フォーカス」は、その場でもすぐに取り組むことができるトレーニング方法です。
両腕を肩幅に広げて伸ばし、親指の先を左右交互に見ましょう。ポイントは、首を動かさないよう注意して取り組むこと。
親指は参考写真のように左右・上下・斜め・前後に位置を変え繰り返し行っていきます。ぜひ、毎日の日課として取り入れてみて下さい。
②ボールに書かれた図形や数字を識別するトレーニング
このトレーニング方法は、ボールに貼り付けられた紙に図形や数字を書き、キャッチボールをしながらそれらを把握するトレーニングです。
ペアで行えば2人同時に行うことができます。若干準備に手間がかかってしまいますが、新しいトレーニング方法として取り入れてみてはいかがでしょうか。
柔らかいボール、5cm程度の正方形の紙、ペン、セロハンテープ
正方形の紙に好きな図形や数字を書き、ボールに貼り付ける
動体視力だけではライバルと差をつけられない?「見る力」を鍛える重要性とは
動体視力を鍛えることで、パーフォーマンスを向上させることができますが、スポーツに必要な視覚能力は、一瞬で広範囲の情報を収集する「周辺視野」や瞬間的に見たものを記憶する「瞬間視」などの総合的な視覚能力である「見る力」が非常に大切です。
例えば、サッカーの試合中に、即座に広いコートの状況を把握するには、動体視力だけでは補えない、「周辺視野」や「瞬間視」の能力が必要です。
「見る力」はビジョントレーニングで鍛えられます
この「見る力」を鍛えるためには、「ビジョントレーニング」が有効です。近年アスリートの育成現場でも注目されており、これは視力とは違い、年齢に関係なく誰でも鍛えていくことができます。
たとえばアメリカ大リーグの元シアトル・マリナーズで活躍し、2001年から7年間にわたり首位打者となった、エドガー・マルチネス選手もビジョントレーニングを行っていたことで有名です。
彼の様に、ライバルと差をつけていくには、動体視力だけでなく、総合的な「見る力」を鍛えていくことが必要だということが分かります。
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